運動後などに発症する「筋肉痛」は辛いですよね。症状がひどい場合、正常な動作ができなかったりなど日常生活に支障をきたしてしまいます。
これまで筋肉痛にあまり悩まされてこなかった方でも、年を重ねるごとに「ちょっとした運動でも筋肉痛になる」といった機会が増えてきているのではないでしょうか。
今回は筋肉痛になる仕組みと効果的な回復方法についではmてご説明させていただきます。
筋肉痛の予防方法についても触れますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.「筋肉痛」とは
筋肉痛とは、その名のとおり筋肉に生じる痛みのことを言います。
一般的には運動などで体を動かした数時間後に発症する「遅発性筋肉痛」が多いようです。
同じ部分の筋肉を使いすぎたり、普段あまり使わない筋肉を使った際に発症す可能性があります。
2.筋肉痛になる仕組み
では、なぜ筋肉を使用すると「痛み」となって表れてくるのでしょうか。
ここでは筋肉痛になる仕組みについて触れていきます。
2-1.疲労物質が蓄積されている
運動などで筋肉を使用した場合、筋肉中には「乳酸」と呼ばれる疲労物質が溜まっていきます。乳酸が蓄積されていくと、これまでのように筋肉が動かなくなってしまい、本来の機能を発揮できなくなってしまいます。
乳酸は血液から体外に排出されることで解消されていきますが、排出されることなく体の中に滞り続けることで、結果として痛みに変わっていくと言われています。
体を動かしてすぐに筋肉痛を感じた際の原因はこの疲労物質によるものと考えられており、一般的には「即効性筋肉痛」と呼ばれています。
2-2.筋肉が損傷している
筋肉は伸びたり縮んだりすることでその役割を発揮します。
この動作が繰り返し行われたり、激しく行われると、筋肉の組織上ではごく小さな断裂が起こることもあります。断裂して損傷した箇所が炎症を起こすことで痛みになることがあります。
激しい運動をし筋肉を使えば使うほど、筋肉組織が破壊されることになるため、筋肉痛になる可能性も高くなっていきます。
2-3.損傷した筋肉組織を修復している
上記のように筋肉の組織が損傷した場合、体ではその部分を修復しようとする働きが起こります。
修復の様子としては、筋肉の繊維を一度分解し、新しい筋肉組織へと再構築する反応が起こります。分解する反応が痛みになって表れてくることもあると言われています。
数時間後・数日後に襲ってくる筋肉痛はこの修復作用中によるものであると考えられてます。
この際の筋肉痛は身体が回復に向かっているという証ともいえるでしょう。
3.筋肉痛になりやすい事象・行動
自身がどのような時に筋肉痛になるかを振り返ってみてください。
筋肉痛になり得る事象を把握しておくことは、予防へ向けた取り組みへのきっかけともなります。
下記ではいくつかの事例を挙げます。
3-1.激しく運動をしたとき
激しく身体を動かした後には筋肉痛になりやすいですよね。
スポーツが好きな方の場合はよく見受けられるケースかと思います。
身体を動かせば、それだけ筋肉が使われ、損傷していくことになります。
たとえ運動慣れしている方であっても、筋肉痛になることは十分にあり得ます。
各スポーツのプロフェッショナルの方々は、筋肉痛になることを踏まえたうえで自身の体調と向き合っている場合もあるようです。
3-2.不慣れな行動をとったとき
普段から使われている筋肉であれば、多少の収縮動作でも筋肉痛になることはほとんどありません。
しかし、不慣れな行動をとって普段使わないような筋肉を使用すると、ちょっとした刺激でも組織が損傷してしまうことがあります。
修復して新たな筋肉組織を構築するにも時間がかかってしまうことがあるので、筋肉痛が発症している期間も長めとなるケースが多いようです。
3-3.重いモノを持ち上げたとき
重いものを持ち上げようとするときは瞬発的に強い力が必要となります。
持ち上げている最中も断続的に力を使っている状態となり、筋肉にかかる負担も大きなものとなります。
握力がなくなったり、手がしびれるといった様子も筋肉を使った証拠の一つです。
力んで筋肉をグッと固めるような動作においても、筋肉は損傷するものであると考えることができます。
3-4.ジェットコースターに乗ったとき
ジェットコースターなどの絶叫系アトラクションに乗った際、降車してから体中が痛くなった経験はありませんか?
遠心力に耐えようとしたり、緊張したりすることで、無意識的に体全体に力が入った状態になることが多いからです。
自身では意識を意識していないときでも、自然と力が入り筋肉が使われていることがあります。スポーツ観戦などで思わず力んでいた、などと言った事象も同じことが言えるのではないでしょう。
4.筋肉痛を回復させるには
適切に対処をすることで、筋肉痛は症状を緩和することができます。
ここでは筋肉痛を回復させるのに有効とされる方法をご紹介します。
4-1.しっかりと睡眠をとり修復作用を働かせる
睡眠中には成長ホルモンが多く分泌されます。
成長ホルモンは代謝を活性化させる働きがあり、免疫力の向上や肉体の疲労回復の効果があります。
疲労や組織の損傷が影響しているであろう筋肉痛においても、睡眠による修復作用は必須であると言えるでしょう。
しっかりと睡眠をとることで、自然治癒を促すことができます。
4-2.軽めの運動を行う
筋肉痛は運動して筋肉を使用することによって発症するとも述べてきましたが、原因は運動した際に分泌される乳酸にあります。
筋肉にたまった乳酸は血液を介して体外に放出されますが、血流が悪い状態であると、放出されずに体内に滞り続けることになってしまいます。
つまり、血流を良くして乳酸を放出させることが重要なのです。
血液の循環を良くする方法として、軽めの運動することが効果的であるとされています。
ここで激しい運動を重ねてしまうと、より乳酸を溜めてしまいかねないので注意してください。
血行を良くする軽めの運動を紹介します。
4-2-1.ストレッチ
ゆっくりとストレッチをし、縮んでしまった筋肉を伸ばしてあげるようにしましょう。
激しい運動の後は、筋肉が縮んでしまっている可能性があります。
筋肉を伸ばしてあげることで、血液の循環が良くなるとされています。
筋肉痛によってストレッチの際も痛みが伴う場合があるので、徐々に行うようにしてください。
4-2-2.有酸素運動
ジョギングやランニングといった有酸素運動が有効です。
ゆっくりとしたペースで行うことで、血行を良くし乳酸を放出する効果が得られます。
強い力を必要としない運動のため、取り組みやすいかと思います。
ダッシュなどといった瞬発的に大きな力が加わる動作は控えるようにしましょう。
4-2-3.ラジオ体操
ラジオ体操のような体を温める・ほぐす効果のある運動も良いです。
場所も取らず、ちょっとした時間で行える取り組みです。
ラジオ体操は筋肉を伸ばすのに有効的な動作が詰まっているので、日頃から習慣付けても良いかもしれません。
4-3.筋肉痛に良いとされる栄養素を摂取する
筋肉痛は栄養面で回復を促すこともできます。
筋肉痛に良いとされる栄養素と、多く含まれる食品をご紹介します。
・タンパク質 ・・・ 肉、魚、豆類 など
・アミノ酸 ・・・ 肉(牛肉、豚肉、鶏肉) など
・クエン酸 ・・・ レモン、梅干し など
・ビタミンB1 ・・・ レバー など
・ビタミンB6 ・・・ にんにく、とうがらし など
・ミネラル ・・・ ひじき、アーモンド など
これらの栄養素をバランスよく摂取するようにしてみましょう。
良く噛んで食べることで、より吸収力が高まります。
4-4.入浴で血行を良くする
入浴を通じて血流を良くすることも可能です。
その際、温かいお湯に浸かるだけでなく、冷たい水を浴びることが効果的であるとされています。
血行を良くするためには血管を拡張する必要がありますが、温かいお湯と冷たい水を交互に浴びることでその反応を起こすことができます。筋肉痛のみならず、疲労回復も見込めます。
冷たい水を浴びることに多少の抵抗もあるかもしれませんが、ぜひお試しください。
ただし、筋肉痛がひどく患部が熱を帯びているようであれば、血行を良くすることが逆効果になってしまう場合もあるので注意してください。
4-5.鎮痛剤を使用する
スポーツ選手など、すぐにでも筋肉痛の症状を和らげたい場合は鎮痛剤を使用するのも一つの手です。
ただし、鎮痛剤はあくまで応急処置であり、完治させるものではありません。
最終的には自然治癒による完治が望ましいので、使用方法や頻度についてはよう検討する必要があります。
5.筋肉痛の予防方法
筋肉痛は完全に防げるものではありません。
ですが、少しでも症状の発症を抑えられるような取り組みを実施してみましょう。
5-1.運動前には準備運動をする
急激に筋肉に刺激を与えると、組織が破壊されたり疲労物質が溜まりやすくなってしまいます。
運動する前には「準備運動」をするようにしましょう。
軽いストレッチやランニングなどで筋肉をほぐしておくようにしてください。
適度に汗をかいておくことにより、血流も良くなり乳酸が溜まりにくい状態になります。
ケガの予防にも繋がります。
5-2.こまめに水分補給を行う
身体を動かす際は、こまめに水分補給を行うようにしましょう。
体内に水分が不足している状態だと、血液の流れが悪くなってしまいます。
運動の際に必要な酸素がスムーズに行き届かなくなることで、筋肉内には乳酸が溜まりやすくなってしまいます。
汗の量も減り、老廃物の排出も適切に行えなくなるので筋肉痛になるリスクが高まってしまいます。
喉が渇いていないとしても、定期的に水分補給をするようにしてください。
5-3.クエン酸・アミノ酸を摂取する
クエン酸やアミノ酸には乳酸を減らす作用があります。
運動中、運動後には積極的に摂取してみるようにしましょう。
クエン酸やアミノ酸が含まれた食品を食べるほかに、飲料にも含まれてるモノも多いので、事前に用意しておくと良いですね。
5-4.運動後はクールダウンする
運動後には疲労物質が放出されやすい状態にしておくことが望ましいです。
運動したあとの筋肉をそのままの状態にしておくと、筋肉が硬くなって血流が悪くなります。
クールダウンをして筋肉を和らげておくだけでも筋肉痛になる可能性を大きく軽減することができます。
運動後のちょっとした配慮で、のちの痛みを防ぐことに繋がるということを覚えておきましょう。
5-5.筋肉を休ませる習慣をつけておく
筋肉は使えば使うほど損傷し続けることになります。
損傷した組織が回復しきらない状態が続いていると、筋肉痛が慢性的になってしまいます。
筋肉は損傷が回復することによってより強い筋肉へと生まれ変わっていくので、十分な回復期間も重要となるのです。
筋肉痛がある場合は無理をせず休ませてあげる、といった配慮も必要となるでしょう。
5-6.身体を鍛えておく
同じ筋肉でも、鍛え上げられた強靭な筋肉であれば運動の際に受ける損傷の度合いも小さくなります。
筋肉痛がつらい時期もあるかもしれませんが、身体を鍛えて強い力を生み出せる筋肉を身につけておけば、先々の筋肉痛の予防にも繋がると考えられます。
6.筋肉痛じゃない場合もあるので注意
筋肉痛と勘違いしてしまう別の症状もあります。
普段の筋肉痛の様子と違かったり、症状がなかなか改善されないようであれば注意してください。
以下では筋肉痛に似た症状の事例を挙げます。
いずれにおいても、これらの症状が見受けられた場合は一度病院に行き診察を受けることをオススメします。
6-1.肉離れ
筋肉が断裂して切れてしまった状態を肉離れと言います。
動かすことが困難なくらい激しい痛みを伴うことがあります。
瞬間的に症状がでるのが筋肉痛との大きな違いです。
いきなり大きな痛みに襲われ、思うような行動がとれなくなった場合は肉離れを疑うようにしてください。
6-2.線維筋痛症
筋肉に限らず、体全体に痛みが生じる病気です。
疲労感や眠気といった症状を併発する場合もあるようで、ストレスなどが原因ではないかと考えられています。
精神的にも不安定な様子が見受けられるようであれば疑うようにしてみてください。
6-3.インフルエンザ
インフルエンザなどの高熱を帯びる病気の際も筋肉に痛みを伴うことがあるようです。
熱、咳など感染症の時に見受けられる症状が発症していた場合は注意してください。
寒気や関節の痛みも一つのサインです。
体調の様子から病気の状態を見極められるようにしましょう。
6-4.関節リウマチ
主に関節に痛みを感じる病気ですが、筋肉の痛みを伴う場合もあります。
疲労感などといった筋肉痛の際にも見受けられるような症状もあるため、症状の判断に戸惑うこともあるかもしれません。
肘を曲げる、膝を曲げるなどといった関節を使用する動作が痛みでスムーズ行えないような状態であれば疑うようにしてみてください。
7.まとめ
今回は筋肉痛についてまとめてきました。
若い頃は準備運動なしに運動をしても、軽い筋肉痛がきて、はたまたすぐに治ってしまうという経験をしたことでしょう。
しかし、年を重ねるごとに同じように運動をするごとに筋肉痛がひどくなってきます。ご自身はまだまだ若いと思っていても、身体は正直なものです。
若い頃のように運動したければ、若い頃のような筋肉、体力をつくる必要があります。そのためにもしっかりとした準備運動、水分補給、栄養補給、また運動後のクールダウンを徹底してください。