「妊娠中の方はコーヒーを控えるべきである」と聞いたことはないでしょうか?
コーヒーには「カフェイン」と呼ばれる成分が含まれています。
カフェインは過剰に摂取してしまうと不眠や頻脈などを引き起こす場合があります。
また、妊娠中・授乳中の方の場合は、その効能が直接的に赤ちゃんまで行き届いてしまう可能性があります。
赤ちゃんの健やかな成長を見守るためにも、カフェインという成分について理解を深めておきましょう。
目次
1.「カフェイン」とは
カフェインとは、アルカロイドと呼ばれる化合物の一種です。
覚醒作用や解熱鎮痛作用があり、眠気、倦怠感、頭痛などに対して効果がある医薬品としても使用されています。
カフェインを摂取することが習慣になっている方が摂取量を減らすと、集中力の低下、疲労感、吐き気などの離脱症状を起こすこともあります。
カフェインの特徴について、簡単にまとめておきます。
1-1.カフェインの主な機能・効果
・覚醒作用
・血管拡張作用
・交感神経刺激(基礎代謝促進)
・胃酸分泌促進作用
・利尿作用
1-2.カフェインが含まれるモノ
<飲料品>
・コーヒー
・紅茶
・ウーロン茶
・栄養ドリンク
・チョコレート など
<医薬品>
・鎮痛薬
・総合感冒薬 など
2.カフェインが与える赤ちゃんへの影響
母親が摂取したカフェインは赤ちゃんにも影響を与えるとされています。
カフェインが与える赤ちゃんへの影響について覚えておきましょう。
2-1.母体にいるとき
赤ちゃんがお腹の中にいるときの影響については以下の通りです。
2-1-1.カフェインを分解して排出できない
胎内の赤ちゃんにも、母体と同じ濃度・量のカフェインが行き届きます。
内臓器官がまだ不完全な状態の胎児はカフェインを分解することができません。
排出できず体内に大量のカフェインが残ってしまうと、興奮状態となり落ち着きがなくなってしまうそうです。
2-1-2.低体重になる可能性がある
カフェインは胎盤の血流を減少させてしまいます。
赤ちゃんに必要な栄養が行き届きにくくなることにより、成長が未熟で低体重となってしまうケースもあるとされています。
2-2.授乳が始まったとき
赤ちゃんに授乳するときの影響については以下の通りです。
2-2-1.興奮して落ち着きがなくなる
カフェインの覚醒作用が働き、赤ちゃんが興奮状態になってしまう可能性があるようです。
リラックスができていない状態となり、赤ちゃんの身体にとっては大きな負担となります。
2-2-2.寝つきが悪くなる
上記の興奮状態にも繋がりますが、覚醒作用が働くことで赤ちゃんが眠れなくなってしまう可能性があります。
もともと母乳には睡眠を促す作用があるので、授乳しても赤ちゃんがなかなか寝付けなかったり、夜泣きがひどいようなときはカフェインの影響が関わっているかもしれません。
2-2-3.情緒不安定になる
カフェインは、摂取量が多いと脳に与える刺激が強くなり、不安感やイライラ感を引き起こす可能性があります。
赤ちゃんの情緒が不安定で、不機嫌な様子や感情的な様子が多く見受けられるようであれば、カフェインの影響が関わっているかもしれません。
2-2-4.乳幼児突然死症候群のリスクが高くなる
なんの前触れもなく、突然赤ちゃんが亡くなってしまう「乳幼児突然死症候群(SIDS)」と呼ばれる病気があります。
この病気の原因はまだ明確には解析されていません。
しかし、カフェインの摂取によって乳幼児突然死症候群の発症率が高くなるといった統計も出ていることから、可能性の一つとして考えることができます。
3.カフェインの過剰摂取を防ぐには
カフェインの過剰摂取を防ぐため、以下の点を心掛けましょう。
3-1.1日に摂取する量をあらかじめ決めておく
見境なく摂取し続けるのではなく、1日の摂取量の目安を自分の中で決めておくようにしましょう。
カフェインが排出される時間を設けるため、ペース配分にも気を遣うと良いかもしれません。
3-2.身体を動かす
身体を動かすことで、リラックス効果や眠気覚ましといった効果は得られます。
あらゆる方法を実施し、カフェインに頼りきりとならない状態にしましょう。
3-3.ノンカフェインの飲食品を代用する
カフェインをほとんど含まない飲食品もあります。
コーヒーであれば、カフェインレスコーヒーがあります。
カフェインレスであると気づかないくらいおいしいと評判の商品もあるようなので、一度試してみるのも良いでしょう。
4.適量のカフェインなら摂取しても良い
カフェインが与える赤ちゃんへの影響を考えると、どうしても摂取することを敬遠してしまいがちになります。
しかし、適量のカフェインであればそこまで大きな影響を与えることはないのでご安心ください。
適量の目安としては、コーヒー1日2~3杯・約300mlです。
飲食品に気を使い過ぎてストレスの原因になってしまったら元も子もありません。
リラックス効果も見込めるため、摂取しても影響が出ない基準値を把握しておけば有効的な嗜好品となるでしょう。
5.カフェインを含む飲食品の含有量
ここではカフェインを含む飲食品の含有量を挙げます。
今後口にする際の参考にしてみてください。
5-1.コーヒーのカフェイン含有量
コーヒーにおけるカフェイン量についてです。
<飲食品 量 カフェイン含有量>
・ドリップコーヒー 140ml 95mg
・インスタントコーヒー 140ml 56mg
・エスプレッソコーヒー 30ml 52mg
・カプチーノ 140ml 47mg
・カフェラテ 140ml 47mg
・ノンカフェインコーヒー 140ml 1mg
5-2.お茶・紅茶の含有量
お茶や紅茶におけるカフェイン量についてです。
<飲食品 量 カフェイン含有量>
・ウーロン茶 140ml 28mg
・ほうじ茶 140ml 28mg
・緑茶 140ml 28mg
・玄米茶 140ml 14mg
・紅茶 140ml 70mg
・抹茶 140ml 45mg
・麦茶 140ml 0mg
5-3.栄養ドリンクの含有量
栄養ドリンクにおけるカフェイン量についてです。
<飲食品 量 カフェイン含有量>
・オロナミンC 120ml 18mg
・リポビタンD 100ml 50mg
・レッドブル 200ml 80mg
・眠眠打破 50ml 120mg
5-4.チョコレートの含有量
チョコレートにおけるカフェイン量についてです。
<飲食品 量 カフェイン含有量>
・板チョコレート 50ml 20mg
6.日頃から注意すべきこととは
コーヒーを飲む習慣があるなど、カフェインを摂取する機会はたくさんあるかと思います。
日頃からカフェインを摂取するうえで注意しておくべきことを挙げます。
6-1.妊娠の可能性がある場合は過剰に摂取しない
妊娠した初期の時期であっても、カフェインの影響は胎児に行き届きます。
妊娠している可能性がある場合は、早めにカフェインの摂取について見直してください。
6-2.授乳前には摂取しない
カフェイン摂取後の母乳は、約30分でカフェイン量が最高になります。
その状態で母乳を飲むと、それだけ赤ちゃんにもカフェインの影響が出やすくなってしまうので注意しましょう。
授乳前は出来るだけカフェインの摂取量を減らし、摂取した場合は十分な時間を空けてからとするように心掛けてください。
6-3.授乳のペースを乱さない
赤ちゃんは摂取したカフェインを排出しきるのに3日ほどかかるとされています。
排出しきる前に次の授乳でまたカフェインを摂取することになると、赤ちゃんの体内にはカフェインがどんどん蓄積されていきます。
授乳のペースを考えながらカフェインを摂取するようにしてください。
6-4.子供が小さいうちはカフェインを過剰摂取させない
成長してくると直接的にカフェインを摂取する場面も増えてくるかと思います。
コーヒー以外にも、お茶や栄養ドリンクなどにカフェインは含まれているため、容易に与えすぎないように心掛けてください。
チョコレートのような甘くて食べやすいものは特に注意が必要です。
7.まとめ
ここまで、妊娠中や授乳中におけるカフェイン摂取についてまとめてきました。
何事でもそうですが、過剰摂取は悪影響を与える可能性が高いです。
しかし、どの程度が過剰摂取なのか、またどの飲み物にどの程度のカフェインが入っているのかなどは理解しておかないとわかりませんよね。
通常生活において、コーヒーやお茶などからカフェインを普通に摂取することは問題ありません。しかし、妊娠中や授乳中などは特に注意が必要だということがお分かりいただけたかと思います。ぜひ参考にしてみてください。